流動食の与え方
流動食の与え方としては、以下の2種類がおもな方法かと思います。
- シリンジで口から
- シリンジでチューブ経由(鼻・食道・胃・腸)
猫の保定について
猫がはげしく抵抗したりいやがったりする場合は、複数の人間でおこなうか、保定バッグを使うとスムーズです。
保定バッグは市販品もありますが、ハンドメイドが得意な方であればかんたんに手作りもできますので工夫してみてください。
シリンジについて
シリンジの用途はサイズによってこれと決まっているわけではありません。
ただ、使ってみた印象では10mlは薬やチューブ洗浄用に向いていました。
20mlは経口流動食や薄めのチューブ流動食に。
30mlは食道カテーテルや胃ろうのように太めのチューブや濃いめの流動食で使うと良いと思います。
シリンジには先端の形状で以下の2タイプあります。
- 先端の根元から先までが同じ太さのもの
- 根元が太くて先端にむけて細くなっているもの
シリンジ給餌には後者のほうが使いやすいでしょう。
また、水ものと油ものでシリンジを使いわけると、シリンジの劣化が抑えられるのでおすすめ。
- 水もの=水、水に溶かした薬、水溶性の液体サプリメントなど
- 油もの=流動食、油っぽい液体サプリメントなど
シリンジの準備
あらかじめシリンジのゴム部分に流動食をすこしつけておきます。
これをおこなうとゴムの摩擦がへり、すべりも良くなります。
その後シリンジで流動食を吸い上げるのですが、どうしても空気が入ってしまいます。
チューブに入れる前に必ず空気は抜いておきましょう。
少しくらい空気が残るのは問題ありませんが、しっかり抜いたほうがよりやりやすいでしょう。
シリンジの持ち方
強制給餌の場合、ふつうに注射器を持つかたちでおこなうと、力の加減がむずかしくなります。
このようにしっかり本体を固定しながら親指で押すと、少しずつ注入することができるようになります。
口からの給餌のやり方
給餌の体勢
口からの強制給餌は背後からおこなうとやりやすいです。
やさしくあごを支え、口のはしにシリンジの先端を差し入れ、ゆっくりと注入していきます。
いちどにたくさん流しこまず、飲み込んだことを確認しながらひとくちずつおこなってください。
汚れ防止
口からの給餌はどうしてもこぼれやすく、周囲や体が汚れてしまいがちです。
事前にタオルやペットシーツなどを顔や体に巻いておくと汚れの防止になり、多少保定の効果もあります。
ただ使うか使わないかはやり方や好みにもよると思いますので、一度ためしてから何をどう使うか、決めてみてください。
こちらの姉妹サイトにも、私がおこなっているくわしいやり方がのっています。
⇒【シリンジで口から流動食2~フクの場合(キドナ液の飲ませ方)】
チューブからの給餌のやり方
カテーテルによる給餌作業そのものはかんたんにおこなえます。
ただ、チューブ先端のキャップ開閉などこまかい作業がすこしあるので、高齢で指先がきかなくなってきた方だとちょっとむずかしいかもしれません。
チューブの準備
流動食を与える前後にはチューブにぬるま湯をとおし、中を洗ってきれいにします。
(流した水はそのまま飲ませて大丈夫です。)
経鼻チューブの注意点
経鼻でチューブが抜けかかっていると、肺に流れて誤嚥の危険性があります。
本格的に流す前に、チューブが気管に入っていないか少量だけぬるま湯を流し、むせないかを必ず確認してください。
薬の飲ませ方
薬も飲ませるときは、チューブ洗浄のタイミングでぬるま湯に溶かして飲ませてしまいます。
そのあと流動食を流すことで、薬の成分もムダなく飲ませることができます。
流動食の飲ませ方
チューブ給餌では、比較的猫からの抵抗がすくないので体勢は自由にできます。
流動食を流すときは、あまり速く入れすぎず、様子をみながらゆっくりと。
あまり急いで入れると、お腹がびっくりして全部戻してしまうことがありました。
入れ終えたらチューブにぬるま湯を流してきれいにし、チューブを定位置に収納して完了です。